肛門講座~痔の治療のための正しい知識~ 健康は快便から

梅枝 覚 梅枝 覚(ウメガエ サトル)【副院長 兼 老人保健施設長 兼 大腸肛門病センター長】
大腸肛門病センター

はじめに 痔とは?

痔は症状がある人だけでも成人の約半数もいるといわれています。悩んでいるのはあなた一人ではありません。

痔のタイプとその症状

痔は次の3つに大きく分けられます。

痔核(じかく) 直腸肛門部の血行が悪くなり、血管の一部が風船のようにふくれあがり、出血、脱出をおこします。
痔瘻(じろう) 肛門から細菌感染がおこり、肛門周囲にうみがたまります。
裂肛(れっこう) 硬い便によって肛門上皮がさけて、痛み、出血をおこします。

 

はじめに 痔とは

 

痔と生活習慣

痔は生活習慣と密接な関係があります。おもな原因は、便秘や下痢などで肛門に大きな負担がかかることにより、病気を引き起こします。便秘や下痢になるような生活をしていると、痔になる確率がたかくなります。
男女ではなりやすい痔が違います。痔でももっともおおいのは痔核です。2番目におおいのは、男性は痔瘻、女性は裂肛です。

  男性 女性
痔核 50% 60%
痔瘻 20% 5%
裂肛 10% 15%
その他 20% 20%

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おしりは非常に繊細でいろいろな役目をしています。

おしりのことを理解しましょう。

肛門は、乳児のときに口のほうから下がってきた腸と、おしりのほうからくぼんできた皮膚とがつながり、1本の通り道になったものです。そのため、構造、伸縮性などが異なる2つの組織が同居しています。とても複雑な構造になっています。

おしりの解剖図
肛門括約筋
静脈叢

おしりの解剖図  肛門括約筋 静脈叢

 

歯状線より上 歯状線より下
腸と同じ粘膜(立方円柱上皮) 皮膚と同じ(扁平上皮)
自立神経で痛みを感じない 脳脊髄神経(感覚神経)で痛み感じる
上痔静脈より 下痔動脈より
上痔静脈→肝臓 下痔静脈→心臓
リンパ節→内臓リンパ節 リンパ節→鼠径部リンパ節
内肛門括約筋、自律神経支配 外括約筋、脳脊髄神経支配
意志と無関係にしまる 意志の力でしまる

固形便か、下痢か、おならか、肛門は鑑別しています。また巧みな排便機能があり、普段はおしりをしっかり閉めています。

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1.痔核

痔核には、歯状線よりも上の粘膜の部分にできる内痔核と、下の皮膚の部分にできる外痔核があります。普通、痔核というと内痔核をさします。

ツートン法による痔瘻の治療― 1

内痔核のできる位置

内痔核のできる位置

 

痔核治療

内痔核

I度   痔核の脱出はない 痛みはなく、排便時に鮮血の出血することが多い。………………保存療法
II度  排便時に脱出するが、自然に戻る。…………………………………………………………外来処置
III度 脱出して、指で押し込まないと戻らない。…………………………………………………手術療法
IV度 指で押し込んでも戻らず、出たままの状態となる。粘液がしみ出て下着が汚れる。…手術療法

激しい痛みを伴う痔核

血栓性外痔核 肛門周囲に血栓(血の塊)が作られたもの  
嵌頓痔核 痔核内に血栓が多くでき、嵌頓状態  
  (脱出して腫れ、戻らなくなる)となったもの …………………………………………保存療法
                    または手術療法

内痔核は痛くない。外痔核はとても痛い。

 

手術治療の選択

結紮切除術 (Ligation and Excision):LE

内痔核3度以上で、内痔核および外痔核の手術処置が必要なもの

PPH(procedure for prolapse and hemorroids):PPH

Stapled Haemorrhoidopey Longo’s procedure
内痔核3度で外痔核成分のないもの
全周性の内痔核を伴うもの

内痔核硬化療法 ALTA注射:ALTA

内痔核3度で外痔核成分のないもの
原則として、全周性でないもの

痔核ー昔・今

 

結紮切除術(LE)とは  手術の体位

痔核―手術の体位

 

 結紮切除術

痔核―結紮切除術(LE)

どのような痔核にも施行可能であり、根治性が高い。手術は熟練を要する。

環状自動縫合器(PPH手技)とは

環状自動縫合器(PPH手技)―1 環状自動縫合器(PPH手技)―2
環状自動縫合器(PPH手技)―3 環状自動縫合器(PPH手技)―4
PPH手技とは

PPH手技(環状自動縫合器を用いた切除術)とは痔核の上部の直腸粘膜と痔核位入る動脈を環状に切除し、脱出した内痔核を持ち上げて本来の位置に直し、同時に内痔核への血流を減少させることによって痔核を縮小させます。術後から通常4~6週間以内に完治します。
PPHは痛みを感じる神経のない部分、つまり肛門管内の歯状線(痛覚ライン)より上で処置されるため、従来の痔核切除術より痛みが少ないのです。よって、PPHは、痛みが少なく、回復が早い治療法で、早期社会復帰が可能となります。

痔核硬化療法、四段階注射法(ALTA法)とは

痔核硬化療法、四段階注射法(ALTA法)とは、内痔核に薬液の注射を行い、痔核を縮小させる治療法です。痔核内に満遍なく硬化療法治療薬(硫酸アルミニウムカリウム・タンニンⅢ:al,inium potassium sulfate tannic acid)を注入するために四段階注射法といる特殊な手技にて治療を行います。間違った使用方法で行うと、合併症(出血や疼痛、肛門狭窄など)を来すため、この手技を会得した医師しか、この治療を行うことは出来ません。

痔核硬化療法のしかた

痔核硬化療法のしかた―1

痔核硬化療法のしかた―2

ALTAの局所投与にて、血流遮断を介した止血および 痔核の縮小、更に無菌性炎症を介した持続的な線維化による、粘膜層、粘膜下層の筋層への癒着・固定を促進し、非観血的に病変組織を硬化退縮させることによ り、脱出と排便時の出血を消失させます。従来、手術の適応となっていた重度内痔核の患者にとっても、新たな選択肢となります。また手術療法に比べ入院期間 が短縮されることから、社会生活への早期復帰が可能となります。本法は四段階注射という独特の手技を用いて投与するので、痔治療に精通し、外科専門医で本法の手技を理解し、認可を受けた医師のみがクスリの使用を許されます

痔核治療、手技別の入院期間の比較
  • 結紮切除術(LE)
  • LE + ALTA
  • 環状自動縫合器(PPH)
  • 痔核硬化療法(四段階注射法 ALTA)
8.21 ± 4.19日
7.28 ± 3.06日
6.29± 3.24日
4.07 ± 0.99日

結紮切除術(LE)とALTA硬化療法の併用により、今までLEの適応であった症例に対して、入院期間の短縮がえられた。

 

痔核治療の適応入院期間・治療費
  適応 入院期間 治療費(3割負担)
LE法
結紮切除術
内痔核
外痔核
約7~10日間 約8万円
PPH法
環状自動縫合器
内痔核
直腸粘膜脱
直腸脱
約4~7日間 約8万円
ALTA法
痔核硬化療法
四段階注射法
内痔核 約2~5日間 約4万円
痔核治療の利点・欠点
  利点 欠点
LE法 あらゆる痔核に対応できる
根治度が高い(再発しにくい)
創部痛がある?
創治癒に時間がかかる
手技に熟練を要する
PPH法
環状自動縫合器
全周性、脱肛タイプに有効
根治性が高い(再発しにくい)
痛みが少ない早期に退院
早期の社会復帰可能
手技の適応が限られる
手技に熟練を要する
ALTA法
痔核硬化療法
四段階注射法
注射のみ
早期退院
社会復帰可能
治療費が安い
再発率が高いのでは?
長期成績が不明
適応と判断が難しい
手技に熟練を要する
LE・PPH・ALTAの比較
  悪い                      良い
疼痛 LE PPH ALTA
入院期間 LE PPH ALTA
治療費 PPH LE ALTA
根治性 ALTA PPH LE
痔疾患(痔核、痔瘻、裂肛、直腸脱、排便傷害など)

痔核、痔瘻、裂肛は1000例以上の経験を持つ専門スタッフが治療にあたります。基本的には 保存的療法ですが、紹介患者様も含めると、当院に来院される痔疾患の約半数が手術になっています。痔核、痔瘻、裂肛は根治手術を行うのはもちろんですが、 より根治度の高い、疼痛の少ない、機能を温存した手術、入院期間の短い手術を心がけています。痔核の手術には、従来の結紮切除手術以外にも、最近行われる 様になった、より痛みの少ない痔核硬化療法(四段階注射療法.ALTA注射)、およびPPH(肛門環状自動縫合器を用いた痔核上の直腸粘膜切除、肛門つり 上げ固定術)が適応病状に応じて選択できます。各々の平均入院期間は硬化療法4日、痔核切除術は8日、痔核切除術と痔核硬化療法併用は 6日、PPHは6日でした。より疼痛が少なく、より根治性の高い痔核切除術と痔核硬化療法併用治療が増加してきています。

 

痔核治療手術の変遷(平成29年12月まで)

痔核治療手術の変遷

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2.痔瘻

直腸と肛門のさかいめ、つまり、歯状線の小さいくぼみから大腸菌などが入り込み、直腸と肛門の周囲が化膿したものを肛門周囲膿瘍といいます。 膿瘍(おできのようなもの)が切開されるか、あるいは自然に破れたりするとうみが出て、直腸、肛門とつながったうみの管ができます。これを痔瘻(じろう)といいます。

痔瘻 痔瘻
  • 病気の原因は肛門小窩という入り口の感染から起こります。
  • 基本的な根治手術は、入り口を含めて瘻管を切除し、入り口を閉鎖します。
  • 複雑な痔瘻は、数回に分けて手術を行います。
  • シートンというひもを使って痔瘻を治す場合もあります。
  • 繊細な高度な技術を要するため、専門医に相談しましょう。
約20年間に当院にて痔瘻根治術を行った1905例の痔瘻のタイプの割合
痔瘻痔瘻の分類(隅越分類)
痔瘻Ⅰ型 18例(1.00%)
痔瘻ⅡL型 1356例(71.17%)
痔瘻ⅡL+ⅡH 63例(3.35%)
痔瘻ⅡH型 47例(2.45%)
痔瘻Ⅲ型 373例(19.41%)
痔瘻Ⅳ型 48例(2.62%)
当院での痔瘻手術後の再発率
痔瘻痔瘻の分類(隅越分類) (経過追跡:最長19年~1年)再発率1.95%
  再発例 症例数 再発率
痔瘻I型 0 18例 (0%)
痔瘻ⅡL型 20 1356例 (1.57%)
痔瘻ⅡL+ⅡH型 2 63例 (3.33%)
痔瘻ⅡH型 1 47例 (2.27%)
痔瘻Ⅲ型 9 373例 (2.59%)
痔瘻Ⅳ型 3 48例 (6.38%)

痔瘻を瘻管切除解放術とした場合 痔瘻をくりぬき、シートン併用療法とした場合 痔瘻 2

 

シートン法による痔瘻の治療 の実際

シートン法による痔瘻の治療

時間をかけて、1〜7までシートンで治療する。または1〜5まで単純化してから、単純痔瘻として根治術を行う。シートン療法は時間がかかるが、肛門変形医が少なく、機能障害が少ないという利点がある。当院での痔瘻に対する基本手術術式は、もっとも根治性が高い手術を選択しています。
1:根治性の高い、原発口(肛門小窩)と原発巣の完全切除を原則として行います。
2:深い痔瘻には、くり抜きとシートンを併用して、括約筋障害を最小にするよう努力しています。
3:深い複雑痔瘻で、一期に行うと括約筋損傷、肛門変形が心配される場合は、シートン等で痔瘻を単純化したから、二期的に根治手術を行います。

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3.裂肛

裂肛(anal fissure,fissure-in-ano)とは、歯状線から肛門縁の肛門上皮に発生した裂創・びらんで、浅いびらんから、亀裂を伴う深い潰瘍まで様々です。乳幼児から成人に幅広く見られ、痛みと出血の症状を来します。20〜40歳代の女性に多くみられます。硬い便や、下痢による肛門の炎症におり皮膚が切れておこります。慢性化すると潰瘍になり肛門が狭くなります。狭くなるとますます肛門が切れやすくなり、治りにくくなります。こうした悪循環になると、肛門狭窄になり手術が必要となります。原因としては、ライフスタイルに大きく影響されます。食生活、排便習慣、修学、就労、妊娠出産、生活環境の変化、睡眠、避け・たばこなどにより影響されます。そのため、10〜20歳代では裂肛は女性に多っ区、60〜70歳代では男性に多く見られます.乳幼児では女児がほとんどで6ヶ月から1歳に多く見られます。体質的要因としては、肛門の局所の血流や肛門括約筋機能に影響され、心理的ストレスによる肛門管内の圧力上昇の裂肛の要因とされています。

裂肛

裂肛の慢性化による肛門狭窄は手術適応となります。

裂肛2

手術は、硬い慢性の裂肛を切除し、肛門を拡張形成します。
様々な手術方法が考案されていますが、当院では、術後の肛門変形の少ないzigzagSSGを行っています。

裂肛3

 

痔の予防法

毎日お風呂に入る痔の予防法1 おしりを清潔に痔の予防法2 便秘、下痢はだめ痔の予防法3
便意はがまんしない痔の予防法4 強くいきまない痔の予防法5 おしりを冷やさない痔の予防法6
長時間の同一姿勢はさける痔の予防法7 アルコール・刺激物は控えめに痔の予防法8  

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直腸脱

肛門から直腸が脱出する病気で、2~3歳および高齢者に多くみられます。高齢化にともない増加している病気です。肛門周囲の筋肉や支持組織が弱くなり、直腸が反転して裏返しになり、肛門から飛び出す病気です。高齢者に多いため、なるべく負担の無い手術を行っています。

痔核の脱肛
直腸脱

手術方法

1:おしりから行う手術 2:お腹から行う手術 3:腹腔鏡をもちいて行う手術があります。
当院ではデロルメ変法手術(Delorme変法・梅枝式)(おしりから行う手術)を第一選択にしており、高齢者にも優しい手術であり、再発率も4.30%で極めて良好です。

Delorme変法

脱出長の長い直腸脱にはアルテマイヤー(Altemeier手術)または腹腔鏡下手術を行っています。

アルテマイヤー

排便障害

便秘、便失禁、過敏性腸症候群などがあります。
検査の結果に応じて、排便指導や服薬にて保存的治療を行うか、手術を行うか検討します。
排便機能検査を行います。

1:排便造影検査(デフェコグラフィー)

レントゲンで写るバリウムを使って直腸肛門の形態・機能を検査します。
直腸瘤(Rectocele):おもに直腸の前に袋が出来る病気で、排便障害をきたします。
その他に、脱肛、直腸脱、直腸重積、会陰下垂症候群、恥骨直腸筋症候群などがわかります。

排便造影検査(デフェコグラフィー)-1

排便造影検査(デフェコグラフィー)-2

排便造影(直腸瘤)    排便造影検査(直腸瘤+直腸重積)

 

2:直腸肛門内圧検査

直腸と肛門の便意の反射の有無を検査します。
肛門の括約筋の強さを検査します。
この検査で、便意が充分あるか? 便失禁はないか? を検査します。

肛門内圧検査波形

 

3:肛門管超音波検査

肛門括約筋の厚さを計測します。括約筋に萎縮がないか検査します。

4:直腸感覚・用量検査

直腸感覚閾値、便意発現最小量、直腸最大耐容量を検査します。

5:大腸通過時間測定検査

大腸通過時間測定検査

6:排便障害の治療

排便障害の治療

便秘に対する治療

投薬による保存的治療が基本

便秘に対する治療

特発性慢性便秘症・腸管偽閉塞症(Ogilvie症候群) に対する結腸全摘術。
  急性結腸偽性閉塞症(ACPO)と慢性腸管偽閉塞症(CIPO)があります。
急性結腸偽性閉塞症(ACPO)とは
 特発性(5%以下) 二次的に引き起こす疾患がない
 二次性(95%以上) 慢性腎不全、呼吸・中枢神経・心疾患、整形外科手術後、外傷後

慢性腸管偽閉塞症(CIPO)とは
 特発性は腸管異常が原因   二次的に引き起こす疾患がない
 二次性は自律神経障害、腸管神経障害、腸管平滑筋障害、腸管神経筋混合性障害、薬剤
 一般的に難治性で、全体の予後は不良で、死亡率は10〜25%と報告されている。

排便障害の外科治療

 便秘に対する外科治療
  大腸無力症に対する結腸全摘術 
  直腸瘤(rectocele)根治術
   直腸瘤に対する手術:経膣的直腸瘤縫縮術

排便障害の外科治療

①便失禁に対する治療

 肛門リハビリテーション
 排便指導
 バイオフィードバック療法

バイオフィードバック療法

使用する機器

診療

健康は快便から

誰でもうんちをします

動物はみんなうんちをします。
食べ物を吸収し残しておけないゴミ。そして身体からの便りです。
体からの大きな便り、それが大便です。うんちの便りを読むと臓器の異常がわかる。
くらしのモニター(評論家)です。生活のリズムがうんちをつくる。
毎日うんちを観察しよう。

うんちの量と成分について

うんちの量は大人一日200~300g(バナナ2本分)。
うんちの80%は水分で、70%は便秘、90%は下痢。
うんちの、出来栄えは繊維で決まる。数パーセントは腸の粘膜です。
うんち1gに数億個の細菌がいます。

うんちは 衣 を着ています

粘液は、消化管から出る、透明ですこしどろりとしたゼリー状のものです(唾液や腸、肛門の粘液)。
消化管の表面と、うんちの表面に薄くくっつきます。
ばい菌や毒物などが体の中に入ってくるのを防ぎます。
食べ物が、腸を通り、肛門から出るまでのすべりをよくします。
酵素活性が大きな働きをしています。
酵素活性を高めるためには、日頃運動をして、体温を保つ元になる筋肉量を保つことが必要。
特に、足腰の筋肉を日頃使うことが大切です。

排便の順序としくみについて

うんちの控え室はS状結腸。

肛門の奥はやや太い直腸です。
ふだんは何も入っていないのでぺしゃんこです。
大腸で作られたうんちはここに引っかかっています。

排便は自律神経を刺激することから始まります。

食事が始まると、胃が活発に動き、自律神経を刺激します。
一口30回以上かむと、消化もよくなり、歯も丈夫になり、自律神経も活発化します。
大腸が動いて、うんちを直腸に送り込みます。
胃大腸反射といいます。

自律神経は日頃の生活態度で作られます。

自律神経を、活発にするには、食事は7~8分目で、しっかりと朝食を取ること。
適度の運動と、良く笑い、日頃くよくよしないことが大切。
笑いと運動は、がんを殺すNK細胞と長寿遺伝子Sir2を活性化します。


朝起床時 大腸は寝ています

朝食後 大腸は動き出します

排便の極意(送り出し)

便意を感じることが、つぎのステップ。

直腸にうんちが来て初めてうんちが来たと感じます。
これを(便意)(出せ出せコール)といいます。

タイミングの取り方で、排便のうまい下手がきまる。

便意にあわせて、うんちをスルリと出す。

力自慢は、百害あって一利なし。

押し出しではなく、タイミングをつかむこと。
送り出しの技こそが、うんちの出し方の極意です。

力はタイミング。

便意を感じたときが送り出しのタイミング。

明日から出来ること

毎日朝食をとる
良く噛んで食べる
食後は20分以内に歯をみがく
野菜・くだものなど、繊維をたくさんとる
ヨーグルトなど、ぜんだまきんを毎日食べる
きそく正しい生活をする
出せ出せコールが来たら、うんちをする
うんちはがまんしない
毎日うんち(通知表)をみよう
シャーワートイレは、ほどほどにする
あすからできること、できていますか?
自分の生活態度がいいか、見直そう
健康は快便からです

炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病が増加してきています。

潰瘍性大腸炎の型
直腸炎型
潰瘍性-1治療法 経口・坐剤・浣腸
左側大腸型
潰瘍性-2経口・浣腸・座薬
全大腸炎型
潰瘍性-3経口・注射・点滴・GCAP・手術
クローン病の病型
クローン病―1小腸型 クローン病―2小腸・大腸型 クローン病―3大腸型

クローン病のX線像と病変

偽憩室と非対象性病変 クローン病―2 cobblestne像
腸管狭窄 線状潰瘍
回腸の潰瘍化 裂溝 バラの棘状潰瘍
潰瘍を伴った回腸弁 アフタ様潰瘍
瘻孔形成 炎症性ポリープ
string sign 区域性非連続性病変
skip lesion

炎症性腸疾患は早期に専門病院(大腸肛門病・IBDセンター)での治療が必要です。

大腸癌

根治性が必要な場合に対しては拡大手術を行っていますが、機能温存できるものに対しては出来るだけ侵襲の少ない手術を行っています。直腸癌に対しては出来 る限り直腸低位前方切除術を行い、人工肛門を造らないような手術を行っています。超低前方切除術、ISR(内肛門括約筋切除切除・自然肛門温存術)も症例 に応じて行っています。人工肛門を造らなくてはならなくなった場合でも、専門スタッフが対応し、QOL(生活の質)を考えた指導を行っています。また最近 では、約半数で腹腔鏡下での手術がなされており、常に根治性、よりQOLを考えた最先端の治療が行われるよう努力しています。
大腸癌の再発に対しても、積極的に治療をおこなっています。再手術が可能な場合、たとえば肝転移に対する肝切除等に対しても積極的に施行されており、出血量も500ml前後と安全に行われています。また根治手術が不可能である場合でも、化学療法室での化学療法専門医および、専門スタッフのもとで最先端の化学療法(5−FU+LV療法,UFT/LV療法,カペシタビン療法,FOLFOX療法XELOX療法,CapOX療法,分子標的治療薬,FOLFIRI,アバスチン,アービタックス,ベクティビックス,CPT-11,S-1 など)が行われています。

IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)

1、 内科的、保存的治療を原則とする。保存的には白血球除去療法、レミケードによる点滴治療、成分栄養療法、食事療法など、あらゆる療法に対応しています。
2、 絶対的な外科治療を要する患者様を除けば、患者、家族と十分な意見交換を行いながら外科的治療の時期、方法を選択します。出来る限り、侵襲の少ない腹腔鏡補助下手術を行っています。
3、 外科的適応が必要な場合でも、切除範囲は極力最小限とし、吻合部は狭窄の少ない吻合を行う。クローン病の腸管狭窄には、狭窄形成術、を第一選択とし、腸管切除は可能な限り保存的名方法で治療します。
4、 肛門疾患に対する治療としては、IBDにおける難治性痔瘻に関してはseton 法を用いるなど、出来る限り保存的な方法で治療します。
5、 長期の療養を要する疾患であるため、栄養、心理的ケアーを重視し、管理栄養士による栄養相談、心理療法士による相談を積極的に受けていただいています。
6、 治療に関するセコンドオピニオンを求める患者様には積極的に他の専門医を紹介します。
7、 常により良い治療を目指して、研究をつづけています。

現在治療中の患者数

  • 潰瘍性大腸炎…936名(治療中)
  • クローン病……391名(治療中)

大腸癌、痔疾患、IBD(炎症性腸疾患)共に、当院では最先端医療研究チームをつくり、国内外ともに年間30件以上の多くの研究発表および学会活動をしています。 また、臨床においては、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士と共に治療リームをつくり最善の医療に取り組んでいます。日本でもトップレベルの医療を提供しています。

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さいごに

大腸がん予防のポイントは。

1. 禁煙
2. 運動
3. 肥満解消
4. 50歳になったら大腸がん検診

肛門の痛み、出血、脱肛はすぐ肛門科の専門の先生に相談しよう。

大便は体の健康状態の大きな便りです
排便のしくみを理解して快便をこころがけよう
異常な排便の場合は専門医に相談しましょう
年に一度必ず、大腸がん検診を受けましょう

経歴

梅枝 覚(ウメガエ サトル)【副院長 兼 老人保健施設長 兼 大腸肛門病センター長】

昭和53年 三重大学医学部卒業
昭和59年 三重大学医学部大学院卒業
昭和59年 潰瘍性大腸炎の成因、病態に関する研究 にて博士号取得
昭和64年 社会保険中央総合病院 大腸肛門病センターにて 研修
平成4年 社会保険中央総合病院 大腸肛門病センターにて 研修
平成20年4月 三重大学医学部 消化器外科 臨床教授
平成22年4月 四日市社会保険病院 副院長 兼任 大腸肛門病センター長
平成24年4月 日本大腸肛門病学会 理事〜平成31年まで
平成26年4月 独立行政法人 地域医療機能推進機構
Japan Community Healthcare Organization(JCHO)
四日市羽津医療センター 副院長  大腸肛門病センター長
三重大学医学部 臨床教授
日本大腸肛門病学会 理事 財務委員 健康保険検討委員
平成30年4月〜 JCHO四日市羽津医療センター
副院長 附属介護老人保健施設長 併任
外科・大腸肛門病IBDセンター
三重大学医学部 臨床教授
日本大腸肛門病学会
評議員 健康保険検討委員

外科(消化器外科、大腸・肛門外科・痔核・痔瘻・裂肛・排便障害に対する内科・外科的治療、大腸癌の治療、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患の治療、食道・胃・肝・胆・膵等の消化器外科)

所属学会

日本医師会認定産業医: 産業医
日本外科学会 認定医 専門医 指導医
日本消化器外科学会 認定医 専門医 指導医
日本大腸肛門病学会 専門医 指導医 評議員  健康保険検討委員
大腸癌研究会 世話人 施設代表
大腸肛門機能障害研究会 世話人
日本臨床外科学会 評議員
日本臨床肛門病学会:評議員 臨床肛門病技術指導医
日本ストーマ・排泄・リハビリテーション学会 会員 評議員 ストーマ認定士
東海ストーマリハビリテーション研究会 世話人
日本プライマリー・ケア連合学会 認定医 指導医
日本医療メディエーション研究会 会員 メディエーター認定B
日本肝胆膵外科学会 会員
日本消化器内視鏡学会 会員
日本内視鏡外科学会 会員
日本本消化器病学会 会員
日本癌治療学会 会員
日本老年医学会 会員
内痔核治療研究会 世話人
大腸肛門病懇談会:世話人
東海肛門疾患懇談会:代表世話人
近畿肛門疾患懇談会 会員
日本オストミー協会 顧問医
三重県クローン病研究会 世話人
三重IBD研究会 世話人
東海外科学会 評議委員
三重外科集談会 会員

2020.03