診療・各部門
概要
医療機器は医学の進歩に伴い、大きく変化してきました。今日では医療機器なくして、日常の医療は成り立たないと言っても過言ではありません。しかし、医療機器は、正しく操作し、正常に動作しなければ、治療に役立たないばかりか、命を危険にさらしてしまう可能性があります。臨床工学部では、高度化する医療に対応すべく、業務を「透析領域」、「臨床領域」、「工学領域」の3部門に分け、組織的かつ専門的に活動できるよう体制を整えています。近年では医師のタスクシフト推進の背景もあり、手術の直接介助業務や内視鏡関連業務に参入するようになりました。
又、機器管理のみならず、材料管理にも携わることで、現場における過不足のない在庫調整を行うとともに、材料経費の抑制に働きかけることで、臨床現場と経理課の中間役として病院経営に助力していくことを目標としています。
スタッフ構成、組織図
臨床工学技士長、副臨床工学技士長、主任臨床工学技士、臨床工学技士13名、助手2名
業務内容
透析領域
透析診療補助業務
患者さんの透析治療に伴う準備や治療開始・終了の操作、治療中の安全管理等に従事しています。この他、シャント(治療上頻回に使用する血管)のエコー検査や血管拡張術の介助を行います。また、患者さんの採血データを解析し身体の状態に合わせた治療材料の選択を医師に提案しています。
透析機器管理
透析装置の日常点検・定期点検・オーバーホールの実施による装置の安全確保の他、透析液の清浄度を管理し、合併症の予防に努めています。
特殊血液浄化
当院では炎症性腸疾患の治療に高い実績があり、この治療の1つとされるGCAP(顆粒球除去)療法を多く施行しています。またCRRTを代表とした、急性期疾患における血液浄化の治療支援を行っています。
臨床領域
心臓カテーテル業務
心臓カテーテル検査、治療を行う際の清潔介助業務に加え、血管内超音波(IVUS)やIABP等周辺機器の操作を行っています。
ペースメーカ業務
ペースメーカーの植え込み手術の介助や、定期外来でプログラマーを用いて、埋め込み型デバイスの設定、管理を行っています。2020年からは遠隔モニタリングを用いた管理も行っています。
内視鏡関連業務
電子スコープや内視鏡システムなどの内視鏡関連機器の管理業務に加え、上下部内視鏡検査、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの検査及び治療の介助業務も行っています。
RFA、肝生検立会い
肝生検のエコー操作の介助を行っており、RFAではCT画像同期機能(RVS)を使用したエコー操作の介助に加え、焼灼機器の操作も行っています。
工学領域
手術室・中央材料室
手術室では消化器・婦人科・整形・泌尿器・眼科・内科の手術を行う上で必要な機械準備・設定・術中対応・点検を行い円滑な手術へ尽力しています。
近年では医師のタスクシフト推進の観点から整形手術清潔介助へ従事し、整形インプラントの管理を行い緊急時の手術にも対応できるように環境整備を行っています。
中央材料室では専任で従事しているスタッフと共に洗浄・滅菌に関する運用・方法の改善や提言などを行い、また中央管理物品の在庫管理・払い出し・採用物品の検討を担いコスト軽減に寄与し、目立たないですが病院を支える業務という責任を持ち従事しています。
機器保守
当院に配備されている総数873の医療機器に対して、定期点検やオーバーホールなどの保守を行っています。
病棟管理業務
病棟機器のトラブルシューティングの対応や人工呼吸器など生命維持管理装置の日常点検を行います。また機器が安全に活用されるように、病棟スタッフと連携して使用説明会や講習会を実施しています。
実績
認定資格取得者
2021年度
・透析療法合同専門委員会 透析技術認定士 5名
・日本臨床工学技士会 血液浄化専門臨床工学技士 1名
・臨床ME専門認定士合同認定委員会 第1種ME技術実力検定試験 2名
・臨床ME専門認定士合同認定委員会 第2種ME技術実力検定試験 6名
・日本心血管インターベンション治療学会 心血管インターベンション技師 1名